「頭の中で繰り返し浮かぶ考えが止まらない」 「もう大丈夫とわかっていても、また確認してしまう」——そんな自分に、心当たりはありませんか?
それは単なる“心配性”や“神経質”ではなく、強迫性障害(OCD)のサインかもしれません。
強迫性障害にはいくつかのタイプがあり、症状のあらわれ方も人それぞれです。
この記事では、代表的な6つのタイプ別に症状の特徴を整理し、あなたの傾向がわかる自己チェックリストを用意しました。
✔ これは病気なの?
✔ どのタイプに当てはまるの?
✔ どう対処していけばいい?
そんな疑問に答えるための一歩として、まずは自分の状態を客観的に見つめてみましょう。
あなたはどのタイプ?症状別チェックリスト

強迫性障害は、人によってあらわれ方がまったく異なります。
「不潔さ」や「ミスへの不安」から始まる人もいれば、「人を傷つけてしまうのでは」といった思い込みが苦しみのもとになることも。
以下では、よく見られる6つのタイプに分けて、具体的な症状例とチェック項目を紹介します。
当てはまる項目があるかどうかを確認しながら、「自分の傾向」や「困っている場面」を少しずつ整理してみましょう。「理解すること」が、回復に向かう最初の一歩になります。
タイプ名 | 特徴 |
---|---|
①汚染恐怖(不潔恐怖) | 汚れ・ばい菌・不潔が気になる |
②確認強迫 | 忘れ物・戸締まり・ミスが気になる |
③加害恐怖 | 人を傷つけるかもしれない不安 |
④対称性・秩序 | 並び・左右対称・完璧さへのこだわり |
⑤数へのこだわり | 縁起や不吉な数に敏感 |
⑥侵入思考 | 不快なイメージが浮かび、頭から離れない |

タイプによって症状のあらわれ方が違うんだね

うん、私も“自分の傾向”を知ったことで、回復の道筋が見えてきたよ
①汚染(不潔)恐怖・洗浄強迫

- ドアノブや電車のつり革など、他人が触れたものを極端に避けてしまう
- 手を洗った後でもまだ汚れている気がして、何度も石けんで洗う
- はっきりとした汚れがないのに、「不快な感じ」が消えず強い不安になる
- 外出から帰ると、すぐにシャワーを浴びずにはいられない
- 衣服やバッグなどが「汚染された」と感じ、頻繁に洗濯や拭き取りをしてしまう
- 嫌いな人や不快な人物が触った物を、汚れているように感じる
- 買ってきた商品の外装が汚れている気がして、洗ったり拭いたりしてしまう
②確認強迫

- 玄関の鍵やガスの元栓を何度も確認しないと安心できない
- 重要な書類やメールを何度も読み返してしまう
- 買い物のとき、商品に少しでも傷や汚れがないか何度もチェックしてしまう
- 自分の発言や行動を後から何度も思い出して、失礼がなかったか気になってしまう
- SNSの投稿を何度も見直して、削除や修正を繰り返してしまう
- 電気や家電のスイッチを切ったかどうか何度も確かめてしまう
- 忘れ物がないか心配で、かばんの中を何度も確認してしまう
③加害恐怖・責任強迫

- 他人に危害を加えてしまうのではないかと、強い恐怖を感じる
- 車を運転したあと、「人をひいたかもしれない」と心配になり、同じ道を何度も戻って確認する
- 自分のうっかりミスが誰かの事故やトラブルにつながるのではと不安になる
- 包丁やカッターなどの鋭利なものを見て、自分が人を傷つけてしまうのではと怖くなる
- 話しているときに「攻撃的な言葉を発してしまうのでは」と不安で、人と話すことを避けてしまう
- 他人に起きた不幸が自分のせいのように感じ、強い罪悪感を抱いてしまう
- 自分が何か悪いことをした気がして、一日中そのことばかり考えてしまう
④対称性・秩序強迫

- 物の配置や向きが揃っていないと気持ち悪く感じる
- すべてが左右対称でないと落ち着かない
- 本やノートをきれいに並べ直さないと集中できない
- 物が少し乱れているだけで強い不安を感じ、整えるまで気が済まない
- 服や靴の並びが揃っていないとイライラしてしまう
- 家具の配置が少しでもズレていると、すぐに直さずにはいられない
- 書類や文房具の位置を決まった順番や角度で揃えておかないと安心できない
⑤数へのこだわり

- 数字を強く意識してしまい、縁起が悪いと感じる数を無意識に避けてしまう
- 縁起が良いと感じる回数になるまで、行動を繰り返してしまう
- 時計の「11:11」や「ゾロ目」など、特定の時間や数に異常にこだわってしまう
- 「この回数でやらないと、何か悪いことが起こる」と感じてしまう
- 一定の手順や回数を守らないと不安になる
- 「偶数じゃないと落ち着かない」「3回やらないとダメ」など、特定の数での動作を繰り返してしまう
- 特定の数字や文字を“不吉”と感じて避けるように行動してしまう
⑥侵入思考・反復思考

- 不快なイメージや言葉が突然頭に浮かび、それが何度も繰り返される
- 「どうしてもこの考えが頭から離れない」と強い苦しさを感じる
- 縁起が悪い数字や言葉に敏感になり、過剰に気にしてしまう
- 他人の何気ない言動が引っかかり、頭の中で繰り返し思い出してしまう
- 言葉やフレーズが無意識に頭の中でリピートされる感じが続く
- ふと悪いことを考えた後に、「打ち消す」行動を取らないと落ち着かない
- 不適切な言葉や侮辱的な考えが浮かび、自分でも戸惑い、苦しくなる
自分に当てはまるかもしれないと思ったら
いくつか当てはまる項目があった方は、「今の自分は、どんな傾向が強いのか?」を意識して振り返ってみてください。
強迫性障害の症状は、人によってあらわれ方も感じ方もさまざまです。
3つ以上当てはまっていても、すぐに「病気だ」と思い込む必要はありません。
大切なのは、今の自分の状態を否定せずに受けとめること。
「生活がつらくなってきたかも」「やめたいのにやめられないことがある」——そんな感覚があるなら、一度立ち止まって考えるタイミングかもしれません。
もし次のような状態が続いているなら、精神科や心療内科など専門家への相談を検討してみましょう。
- 不安やこだわり生活に支障をきたしている
- 自分ではやめたいのに、どうしても行動を繰り返してしまう
- 緊張が抜けず、いつも不安な気持ちがある
受診に踏み切るのがまだ不安な場合でも、セルフヘルプ本や記録ツールを使って、できることから整えていくのも一つの方法です。最近では、初心者向けにわかりやすく構成された本も多く出版されています。私自身も、「小さな気づき」と「ほんの少しの行動」が回復につながっていきました。
無理をしなくて大丈夫。自分のペースで向き合っていけば、ちゃんと前に進めます。
焦らず、一歩ずつできることから始めてみてください。
まとめ
もし、いくつかの項目に心当たりがあったとしても、それは「おかしいこと」でも「ダメなこと」でもありません。
それはむしろ、あなたの感覚が正直で、繊細で、一生懸命に生きてきた証です。
強迫性障害の症状は、とても個人的で、ときに人に説明しづらいものです。
でも、自分の傾向やパターンを知ることで、「自分のための対処法」も少しずつ見えてきます。
私もかつて、終わりのない不安に振り回され、誰にもわかってもらえない苦しさの中にいました。
でも、「まずは自分自身が知ること」から始めて、少しずつ前に進めるようになりました。
回復には時間がかかってもかまいません。
大切なのは、今日ここで「自分と向き合ってみよう」と思ったその気持ちです。
この記事が、その一歩を後押しできていたなら、心からうれしく思います。