1.強迫性障害 自己チェックテストについて

「手を何度も洗ってしまう」「戸締まりを何度も確認してしまう」など、頭から離れない不安や繰り返しの行動に悩んでいませんか? それは 「強迫性障害(Obsessive-Compulsive Disorder, OCD)」 の可能性があります。この症状が続くと、日常生活や仕事、対人関係に影響を及ぼすことがあります。
この記事では、強迫性障害かもしれないと感じている方に向けて、診断の代わりにはなりませんが、参考として利用できる自己評価式のツールであるOCI-R(Obsessive-Compulsive Inventory – Revised)をご紹介します。
今回掲載するテストは、英語版を当サイトで日本語に翻訳したものです。日本の医療機関で提供されている公式の日本語版とは、翻訳や解釈に若干の違いが生じる場合がございますので、その点をご了承ください。
「もしかして強迫性障害かも?」 と感じたら、ぜひチェックしてみてください。ただし、このテストは強迫性障害の傾向を知るための参考情報であり、医師や専門家による診断の代わりにはなりません。結果はあくまで参考とし、不安が強い場合や生活に支障を感じている場合は、迷わず専門の医療機関に相談しましょう。適切なサポートを受けることで、症状の改善につながる可能性があります。
2.強迫性障害 自己チェックテスト(OCI-R)
①OCI-R(Obsessive-Compulsive Inventory-Revised)とは?
OCI-Rは、強迫性障害の症状の強さを評価するために開発された自己記入式の質問票です。強迫性障害の診断や研究に広く使用され、症状の頻度や強度を測る信頼性の高いツールとして臨床現場でも利用されています。このツールは、強迫観念(繰り返し思い浮かぶ不安な考え)や強迫行為(その不安を解消するために繰り返し行う行動)の頻度や強度を評価することにより、症状の程度を把握するのに役立ちます。
このテストは18の質問で構成されており、各項目について 「過去1カ月間にどの程度悩まされたか」 を基準に、次の5段階で自己評価します。
数値 | 評価基準 / 強迫症状の程度 |
---|---|
0 | まったくない |
1 | 少しある |
2 | かなりある |
3 | 強くある |
4 | 非常に強い |
②OCI-Rテスト質問項目(日本語訳)
以下の質問に対し、0(まったくない)~4(非常に強い)の中から最も当てはまるものを選んでください。
- 不要なものをため込みすぎて、生活の邪魔になっている。
- 物事を必要以上に何度も確認してしまう。
- 物がきちんと並んでいないと落ち着かず、不快に感じる。
- 何かをするときに、決まった回数を数えないと気が済まない。
- 他人や特定の人が触れたものに触るのが苦手である。
- 自分の考えをコントロールするのが難しいと感じることがある。
- 必要のないものを集めてしまう。
- ドアや窓、引き出しなどを繰り返し確認してしまう。
- 自分が並べたものの配置を他人に変えられると不快に感じる。
- 特定の数字を繰り返さないと気が済まないことがある。
- 汚染された気がして、実際には汚れていなくても洗ったり清潔にしないと気が済まない。
- 自分の意思に反して、不快な考えが頭に浮かび、それに動揺する。
- 後で必要になるかもしれないと思い、物を捨てられない。
- ガスや水道の蛇口、電気のスイッチを何度も確認してしまう。
- 物を特定の順番や配置で整えていないと落ち着かない。
- 数字には「縁起の良いもの」と「悪いもの」があると感じる。
- 必要以上に頻繁に、また長時間、手を洗ってしまう。
- 嫌な考えが繰り返し頭に浮かび、それを振り払うのが難しい。
3.OCI-Rの結果判定
合計スコアを計算し、以下の基準を確認してください。
スコア | 判定 |
0~20点 | 強迫性障害の傾向は低い |
21~40点 | 中程度の強迫性障害の可能性がある |
41点以上 | 強迫症状が強く、専門医の診察を検討する価値がある |
スコアが高い場合、強迫性障害の可能性が考えられます。ただし、正式な診断には医師の評価が不可欠です。気になる場合は、専門医に相談することをおすすめします。
4.結果の解釈と次のステップ
- 強迫性障害は放置すると悪化する可能性があります。
- 治療には「認知行動療法(CBT)」や「SSRI(抗うつ薬)」が有効とされています。
- 自己診断だけで判断せず、必要に応じて専門医の診断を受けることが大切です。
5.まとめ:強迫性障害は適切な治療で改善できます
強迫性障害は、単なる「性格の問題」ではなく、適切な治療で改善できる疾患です。自己チェックの結果が高かった場合や、強迫症状が日常生活に大きな影響を与えていると感じる場合は、専門医への相談を検討してみましょう。
早期に対処することで、生活の質を向上させることができます。「もしかして強迫性障害かも?」と感じたら、一人で悩まず、専門家のアドバイスを受けることが大切です。
出典:Foa, E. B., Huppert, J. D., Leiberg, S., Hajcak, G., Langner, R., et al. (2002). The Obsessive-Compulsive Inventory: Development and validation of a short version. Psychological Assessment, 14(4), 485-496.